大阪府の能勢町にある野間稲地の「野間の大ケヤキ」は国指定の天然記念物だが、ここに今年もアオバズクのつがいが姿を見せた。地元の人たちは「かわいいヒナの巣立ちを見たい」とやさしく見守っている。アオバズクはフクロウの一種でアジアに広く分布し、日本では青葉の季節になると繁殖のためにやって来る事からこの名がついた。体長は約25センチだ。野間の大ケヤキに姿を見せたのは4月下旬の頃。高さ30メートルほどのケヤキの一番上あたりの穴に巣を構え、オスとメスは交代で抱卵している。片方が卵を温めている間、もう片方はコウモリや昆虫類を捕ってはせっせと巣に運び、昼間は黄色い目を見開いて見張りをしていたが、26日、つがいが揃って姿を見せた事から卵がかえったとみられる。アオバズクの夫婦はこれから子育てに忙しくなりそうだ。府教委などの説明によると、野間の大ケヤキは樹齢千年以上となっている。昔このあたりに鎮座していた「蟻無宮(アリナシノミヤ)」という神社のご神木だったという。府下一番の巨樹で昭和23年、国の天然記念物に指定された。近所の人たちは「ヒナが巣から出てくるのが楽しみだ。驚かせないよう、静かに見守っていきたい」と話している。