世界遺産の一つ、京都の清水寺。江戸時代の初期に再建された「清水の舞台」を支える78本の柱のうち、12本にシロアリ被害などが発生していることが7日判明した。同寺は現在、本堂を含めた9棟の大修復を行っており、その過程で異変が判明した。本堂の南正面には有名な総檜板張りの舞台が崖に張り出している。清水寺によれば、平成21年秋まで380年近くにわたって本堂や舞台を下から支え続けてきた直径60センチ以上のケヤキの柱の12本がシロアリや湿気の被害にあっている可能性が目視調査などで指摘されたという。今後は、X線調査などで被害状況を詳細に調査し、傷んだ箇所を取り除いて新しい材料で継ぎ足す「根継ぎ」などの対策が必要になるとみられ、計画の見直しも有り得るという。専門からの話によると、「根継ぎ」を行うには周辺の柱も含めて地面から浮かせる必要があると言い、その影響により参拝経路の変更も想定されている。「参拝客に迷惑をかけるのは心苦しいが、できればこの機会に柱の補強も行いたい」と同寺の森孝忍・法務庶務部長は話している。とは言え、費用などの観点から「文化庁と協議の必要があり簡単には決められない、頭の痛い問題だ」と話している。「平成の大修復」は本堂を含めた計9棟を対象に、20~30年度にかけて実施される。総事業費 約40億円のうち文化庁が約55%を補助する。また、昭和42年以来となる屋根桧皮の全面葺き替えも実施、さらに、崖側に傾いている本堂東側の柱6本を垂直に戻すなど、大規模な修復作業が最終年度まで続く予定である。