31日に市教委が、滋賀県栗東市苅原の下鈎遺跡で古墳時代初頭(3世紀)とみられる琴の弦を張る上板部分が出土したことを発表した。長さは近畿最大級の158cmである。市教委は「琴の全体像がわかる状態で出土しており、貴重」とし、有力者の葬礼や祭祀に使用されたとみている。最大幅24cm、厚さ1.8cmの針葉樹でつくられた板には、音を共鳴させる部分を結合した跡とみられるくさびなどを打った穴がある。5個残っていた突起は弦を巻き付けるもので、復元すれば8個あったと推測され、8弦の琴は極めて珍しい。河川跡の地表から約1.5mで見つかり、時代の特定は周辺の土器から特定した。松江市の石田遺跡から出土した192cmが最大の古代琴だが、破損して1m以下で出土する例がほどんどといわれる。静岡県埋蔵文化財センター調査課の中川律子主査(音楽考古学)は「河川跡の粘土層に包まれ、真空パックのように良い保存状態になったとみられる。干ばつや水害を鎮める祭祀で弾かれていたのではないか」と話している。市立栗東西図書館は4日、栗東歴史民俗博物館は5~19日に展示される。