神戸・三宮にある繁華街の中に立つ社、それが生田神社である。「生きた」「生まれた」そう読める事から、「よみがえりの社」とも「再生の神」とも呼ばれている。事実、現在までにさまざな災厄に遭いながら、その度に幾度となく立ち直ってきた。創建は201年の事。当初は生田川上流に位置する砂山(いさごやま)にあったが、平安期に山津波の影響を受け、現在の生田の森に移された背景がある。その後も数々の修羅場を経験した。源平の争乱、湊川の戦い、1938年には阪神大水害に遭い、45年には神戸大空襲、そして1995年の阪神淡路大震災のとき、災厄の度に大きな被害を受けた生田神社は、その都度修復され、今なおその姿を残している。神戸の街のために、立派に再建する事が使命だと思いました」そう語ってくれたのは加藤隆久宮司である。神戸大空襲では、焼夷弾の雨によって社殿がことごとく焼き尽くされたが、境内の森には、空襲で焼かれながらも、見事によみがえったクスノキの巨樹が存在する。その巨樹の幹に手をつけ、加藤さんは今回の大震災の被災地に思いを寄せ「復興するんだという気概を盛って、前向きに歩んでほしい。再生への道は必ず開けると、信じています」と話す。