岩手県陸前高田市の復興のシンボルとなっていた「奇跡の一本松」について、14日、住友林業グループは松かさから採取した種子を18本の苗に育てることに成功したと発表し、公開した。今回が種子を直接苗に育てることに成功したのは初めてである。約7万本の高田松原のうち唯一残った一本松は枯死している。茨城県の住友林業筑波研究所は、4月に一本松の種子を回収し、約半年間低温で保管し、9月から12月にかけて発芽させることに成功した。現在、苗は2~4センチの高さに成長している。現地に植え替えできるようになる30~50センチになるまで、接ぎ木による苗で5~6年、種子から育てた場合で約10年かかるという。「小さくて弱い光かもしれないが、あれだけの津波に耐えた一本松から生まれた苗だから、陸前高田の復興に一役買ってくれるのでは」と同研究所の中村健太郎主席研究員は語る。