広島県東広島市郊外に、八つの蔵元が集まる赤レンガの煙突と白壁が連なる「酒蔵通り」がある。その通りには酒の仕込み水に使用される井戸があり、龍王山から水が湧き出している。2001年から「西条・山と水の環境機構」の活動で、水源を守る間伐作業をしている。11月27日、蔵元の関係者や企業、学生のボランティアら約330人が参 加し、生い茂った下草や低木を刈った。「山の水を守らんと、酒がだめになる」と、賀茂泉酒造社長の前垣寿男さんが呼びかけた。マツタケが採れる里山であった龍王山の山林は約65ヘクタールあり、所有者の高齢化で手入れが行き届かなく、松枯れが起きていた。各蔵元とともに設立した機構は、1升瓶1本あたり1円ずつ収益を出し合い財源を年間約600万円確保し、年に数回、山の間伐を行っている。「水は酒造りの大切な命。木々の間隔があれば日光が当たり、雨水も地下に染みこむ。皆で力を合わせ、山の保水力を高めていきたい」と前垣さんと語る。