大阪商工会議所の鉄ちゃんこと井上毅さんによると「建築物として一見の価値がある美しい駅舎の代表格が、南海本線諏訪ノ森駅と浜寺公園駅」という。浜寺公園駅と同時に、諏訪ノ森駅のホームの右側の駅舎は、平成10年に大手私鉄で初めて国の登録有形文化財に登録された。大正8年に建築された木造駅舎である諏訪ノ森駅は、当時流 行したデザインがふんだんに取り入れられ、”大正ロマン”を感じさせる。浜寺から淡路島を望む海岸の景色を描いた5枚のステンドグラスが明かり窓にあり、小さな待合空間や照明などレトロな雰囲気が漂う。かつては関西有数の別荘地であったといい、浜寺公園は松林で有名である。浜寺公園駅のホーム待合室のレトロなデザインで、駅舎は白木、白壁に赤色の屋根が映える現存する最古の洋風駅舎である。東洋一の海水浴場があり、その玄関口にふさわしい駅舎として、明治40年に辰野金吾らによって設計され建て替えられた。柱の骨組みを生かした装飾や屋根の窓が特徴である。「どちらも90年以上にわたり、地域のシンボルとして親しまれてきた。この先も地域の歴史と文化を継承していってほしい」と井上さんは語る。