京都府立大特別講師(森林保護)・小林正秀らが「ナラ枯れ」を食い止める方法を開発した。ナラ枯れとは、木の中にカシノナガキクイムシという甲虫が卵を産むためにカビの一種である「ナラ菌」が運び込まれ、はびこり、水を吸い上げる導管を詰まらせて起きる。廃品のペットボトルを再利用し、注ぎ口から10センチの部分を切り取 り、逆さまに30個つないで木につるすという捕獲装置に甲虫が入りこむと滑って出られなくなり、一番下のエタノールの入った容器に落ちて死んでしまう仕組みである。昨年、船岡山でこの装置の効果を試したところ、多い日には8000匹を捕獲できたという。今秋には、小林さんによると、8万2000平方メートルある船岡山だと50本以上は枯れてしまうはずであったが、ペットボトルを設置した木は全て無事で、甲虫の侵入を許した134本の木のうち、今年新たに枯れたのは1本にとどまった。全国的にナラ枯れが急増している。1本当たり4万円も、枯死した木を伐採し、薬剤で甲虫を駆除するのにかかるという。さらに人手も必要なためなかなか処理できないのが現状である。「簡単な方法で効果が実証できた。ナラ枯れの対処方法の一つとして、全国の自治体にも本格的に取り組んでもらえたら」と小林さんは語る。