燃料に木材を伐採した後の残材や建築廃材などを使用した木質バイオマス発電が広がっている。化石燃料の消費が減るため、二酸化炭素の排出減につながるため、エネルギー利用の促進が期待されている。火力発電の一種である木質バイオマス発電では、重油や石炭の代わりに木材や樹皮、木くずなどを使う。2月に運転が始まった川崎市臨海部の埋め立て地にある川崎バイオマス発電所は、国内最大級の木質バイオマス発電の専門発電所である。燃料となる木材は、住宅の解体時に出る柱やはり、不要になった木製家具、刈り込まれた樹木などの廃材で、神奈川県や東京都から、発電所に隣接する専用工場に運び込まれる。そこで5センチ以下のサイズに細かく砕かれ、鉄くずを磁石で取り除き、ベルトコンベヤーで発電所に運ばれる。こうした、従来は焼却処分されていた廃材は、同発電所で年間約18万トン活用している。「都市部の厳しい環境基準をクリアするために、フィルターなどの環境設備を備えている。今後、食品加工時に出たかすなども利用していきたい」と村上弘所長は話す。木質バイオマスの専焼発電所は、林野庁によると、国内で約70施設が稼働しており、石炭に木質バイオマスを混合して燃やす施設を合わせると約100施設になる。発生の形態によって木質バイオマスは「工場残材」「建設発生材」「未利用間伐材など」に分類される。森林・林業白書(2011年版)によると工場残材と建設発生材は発生量の90%以上が利用されているが、間伐材は年間約800万トン発生し、ほとんどが未利用である。今後、林野庁は、工場残材や建設発生材の大幅な増加は見込まれず、間伐材を一層活用することが木質バイオマスのエネルギー利用を進めるには不可欠であるとしている。チップの製造費用や輸送費用などの削減により、低コストでの安定供給体制の確立が重要であるという。