第63回正倉院展の開会式が、28日、奈良市の奈良国立博物館で行われ、約1250年前の天平文化の至宝の数々が招待客らを魅了した。織田信長らが切り取った跡が残る「黄熟香」(蘭奢待)(長さ1.56メートル)や東大寺の幻の仏堂に納められていた「碧地金銀絵箱」、聖武天皇が身にまとったといわれる「七条織成樹皮色袈裟」などの前で人々は感動と驚きの声を上げた。香木の産地とされるベトナムから留学中のグエン・フォン・チャンさんは「初めて見ましたが、形がとても神秘的。母国の香木が長い 間、日本で大切に守られていたことを知り、誇りに思う」と感激していた。香道家の堀井暁蓉さんは「古来、珍重されてきた名香の中でも別格のもの。実際に目にできる のは夢のようです」と語った。