カキはクマの大好物である。兵庫県は過疎と高齢化で管理が行き届かなくなった柿の木を把握して、伐採などし、クマにとって「魅力のないまち」作りをする予定である。昨年度は、兵庫県内では過去最高の目撃件数である1623件に達し、そのうち県北の但馬地方が8割以上を占め、全国的にも増加傾向にあると環境省はいう。出没のピークは柿の実がなる10月頃で、所有者がわからない木の収穫されないままの柿の実は、クマが人里に入ってくるきっかけとなるという。以上より、今年度から兵庫県但馬県民局は、柿の木の分布を豊岡市と香美町の計4地区にわたり調べて、伐採したり、クマが登れないようトタンを巻いたりする木を選んだ。伐採は11月下旬から取りかかり、長期的にクマの出没状況を調べて効果を検証していく。集落と山裾を中心に172本の柿の木が確認された豊岡市の但東町平田区の区長である寺本均さんは「手付かずの木が多いことに改めて気付かされた。初めは先祖代々の木を切ることに抵抗する声が強かったが、対策の必要性を感じた」と話す。森林総合研究所鳥獣生態研究室(茨城県つくば市)の大井徹室長は、「住民があまり意識していない柿や栗がクマを引き寄せている実態があり、先駆的な取り組みだ。成果を出してクマ対策のお手本になってほしい」と期待している。