宮島には、世界遺産に登録されている厳島神社の高さ約16メートル、重さ約60トンの朱色の大鳥居がある。樹齢500~600年のクスノキを支柱に使用されており、根元は固定しておらず、鳥居上部に詰められた約7トンの小石の重しに鳥居自体の重みで立ってる。その後ろには国の天然記念物である弥山原始林を含む約430ヘクタールの森が 広がり、昔から変わらない。宮島固有種のミヤジマトンボをはじめ、ニホンジカなどさまざまな動植物が生息する。「本土から1キロメートルしか離れていないのに、他の瀬戸内海の島々と比べ、独特の植生がある。山岳信仰の影響か人の手が入ることが少なかったためだろう」と藤山尚志さんは森林の見守り活動をしている。これから紅葉が本格化するなか、宮島は奥深い歴史に彩られつつ豊かな「表情」と新たな魅力を発信していくだろう。