鹿児島県の最福寺の木造では世界最大級の弁財天像を制作し、京都市の鎌倉時代の運慶・快慶の流れをくむ「慶派」を継承する大仏師・松本明慶さんが、東日本大震災の被災地復興を祈願した高さ1.2メートルの子安観音菩薩像と「御前立」の童子像100体を制作している。10月29日~11月13日、19、20日に京都市上京区の松本明慶佛像彫刻美術館で「一刀三礼運動」と題して、来館者に一刀ずつ木を彫ってもらい、5年後の完成を目標に被災地に届けたいというのである。3月下旬から制作を始め、「被災地 の子どもたちが健やかに育ち、将来、古里をもり立ててほしい」と、仕事の合間を縫ってノミを打ってきた。9月になると、優しい表情や身にまとう天衣が浮かび上がる子安観音や約20体の童子が姿を現した。「17歳の時に弟を病気でなくした経験があり、被災者の精神的な手助けをしたいと思った。多くの方々の協力で完成させ、被災者の心のよりどころとなる場所に納めたい」と、松本さんは話した。