京都の山々がナラ枯れによって茶色に染まっている。ナラ枯れは「カシノナガクイムシ」(カシナガ)とよ呼ばれる甲虫が木の幹に深く穴を堀り、酵母とは別に「ナラ菌」と呼ばれる病原菌を持ち込むことによって起きる。大木を好み、世界遺産の下鴨神社や建勲神社などの樹齢数百年の神木が危険にさらされているのである。ナラ枯れは、林野庁によると、1980年代から広がり、昨年度は30都府県で確認され、前年度の4割増加しているという。被害が拡大しているのは、倒木が放置されたり、伐採が 減って木が大きくなったことが原因とされている。このようにカシナガは木を放置することの危険性を教えてくれていると言える。ナラ枯れの被害を受けても緑が回復す ることが多いが、被害が拡大し続けていることが問題である。ナラ枯れの対策として、侵入を防ぐために木の幹にビニールシートなどを巻いたり、ヒノキの木くずの強い香りで追い払ったり、手作りの「ペットボトルトラップ」を考案し木にぶら下げて虫を捕らえたりしている。京都府森林技術センター主任研究員の小林正秀さんは人が山を使わなくなったことのとっばちりで神木が被害を受けてはいけないと考えており、神木を守ることが完全なボランティアとなっていることが課題であるという。「私たちが便利であることを追い求めた結果、薪や炭は利用されなくなった。地球の温暖化が進み、原発事故も起きた。今こそ森を賢く利用して、持続可能な社会を作るべきだ」と話す。