鹿児島県の屋久島は世界遺産の島で、樹齢1000年以上の屋久杉で知られている。しかし、島にはもう一つのシンボルがある。ヤクタネゴヨウである。ヤクタネゴヨウは五葉松で、屋久島と種子島にのみ自生している。「屋久種五葉(ヤクタネゴヨウ)」はそこからきているのである。近年、戦後の伐採や松食い虫被害などで減少、少ない木が近親交配して種の元気もなくなり絶滅が心配されている。木を守り、広く知ってもらおうとボランティアや樹木医が参加する調査隊が1999年に発足された。森林総合研究所九州支所の金谷整一主任研究員は「アカマツやクロマツより成長速度が遅く、植物相が多様な屋久島では成長の過程で負けてしまい、他の植物が生えていない場所に自生しているのではないか」と説明している。最近の調査では高い尾根での枯死が目立つようになった。中国大陸からの越境汚染の影響をもろに受けているのではないかと考えられている。調査隊では「今後は、国の天然記念物指定を働きかけ、もう一つのシンボルとしてしっかりと位置づけたい」としている。