東大寺(奈良市)の法華堂(三月堂)での年輪年代調査で、仏堂の建築に使用された部材の一つであるヒノキが731年に伐採されたものだとわかった。このほか729年伐採のヒノキ材が堂内の八角須弥壇で見つかっている。総合地球環境学研究所かつ奈良文化財研究所の光谷拓実客員教授が、天井近くの表皮が削り残されている部材を発見し、その下の年輪の幅を計測して731年伐採と確認されたのである。建物本体から730年代前半に建立された痕跡が確認され、また過去の調査から古代の木材は伐採から数年内に使用された例が多いことから、記録集「東大寺要録」の733年に創建立されたとの記述が正しい可能性がさらに高まったのである。