筑波大の恩田祐一教授や気象研究所などの文部科学省の研究チームが、森林の地表の落ち葉を取り除けば、最高9割の放射性セシウムの汚染度が減らせるといった調査結果を13日に発表した。6~8月、計画的避難区域に指定されている川俣町山木屋地区3地点の森林で大気中の放射線量や土壌の汚染度を調査した。3地点は、ナラガシワなどの広葉樹林と杉の樹齢が18年(若齢林)と、40~50年(壮齢林)の針葉樹林である。土壌のセシウム134と137の汚染度の合計は、1平方メートルあたり広葉樹林は71万ベクレル、杉の若齢林は47万ベクレル、壮齢林は91万ベクレルで」で、チェルノブイリ原発事故で「強制移住」レベル(55万5千ベクレル)の汚染であったが、広葉樹林と若齢林は表面の落ち葉にセシウムの9割が蓄積され、土壌には1割しか浸透していなかったのである。壮齢林は樹間が広いので土壌への蓄積量は5割程度であった。また、雨が降ると葉や枝に付着したセシウムが土壌に大量に落ちていることも分かっ た。雨水の放射能濃度は森林の外では1リットルあたり1ベクレル以下でも、葉の生い茂っていた針葉樹林に降ったものでは最高585~806ベクレルとなり、飲料水の規制値である200ベクレルを超えていた。調査地域周辺の家屋は裏が森林になっていることが多く、恩田さんは「家の周りだけ除染しても森林からの影響が考えられ、落ち葉や針葉樹林の枝葉を取り除くなどの対策に生かして欲しい」と話す。調査のデータは、森林公園のように人が頻繁に出入りする場所での効率的な除染や、除染の優先順位を考えるのに役立つという。