奈良県十津川村は面積の96%を山林が占めている。台風により山が崩れ、植林されたスギやヒノキが根こそぎ流れ出した。大野地区に住む中西弘さんは土砂崩れの現場を訪れて言った。「手入れしていない山だ」。間引きや枝打ちをしていない林が目立つようになったのは10年ほど前からである。放置林には日光が入らず雑木が生えない。山が水をためられず、大雨で一気に流れ出してしまう。十津川村は放置林の被害が大きいとみている。この影響で、林業再興の切り札にと考えていた「木材加工流通センター」の着工が中止、一転、復興に変わった。林業に携わる若い人が増える好機だっただけに、中西さんは悔しさをにじませた。