奈良市の東大寺に現存する最古の伽藍とされる法華堂(三月堂)の八角須弥壇に、729年に伐採されたヒノキが使われていたことがわかった。八角須弥壇の修理を機に、年輪調査を総合地球環境学研究所の光谷拓実客員教授が実施し、須弥壇の桟に残る樹皮の下に残る年輪から726年伐採と判明したのである。他、3本からも720年代に伐採されたと確認された。法華堂の創建時期は、平安時代の記録集である「東大寺要録」が記す733年から748年ごろまで数説あり、屋根瓦の研究をもとに740年代が有力とされていた。今回の東大寺の森本公誠長老が講演した年輪年代学による調査結果から、東大寺創立の鍵を握る法華堂の創建時期が730年代前半とする見方が強まったのである。約10年も創建時期が古くなるとすれば、学会への影響は小さくない。