間伐材の活用や生態系への配慮が目的で試験導入された岩手県内の小水路の木製ブロックの河川護岸が津波を受けてもほとんど無傷であったことが分かった。九州の森林管理局が開発した木製ブロックは、直径10センチ、長さ1メートル弱の丸太材を格子状に組んだうえ、丸太製の長さ70センチほどの「控え」を直角に取り付けて背面のち中に突き刺して安定させて使用するのである。道路ののり面などに四国や九州で使われてきた。1999年に岩手県宮古市が発注した同市赤前公園脇の津軽石川支流護岸と03年に岩手県が発注した岩泉町小本の長内川護岸である幅数メートルの川の片側で、約40~110平方メートルある。両場所とも高さ15メートル以上の津波が堤防を乗り越えてきたのである。宮古市では、大きく破損した脇のコンクリート橋に対し、木製ブロックは一部損壊にとどまり、岩泉町では最上段のブロックが一部流されただけであった。当時、木製ブロックを二つの現場に納入した岩手林産加工の小山田舜次郎社長は現場確認を震災直後に行ったのである。6月に、全国の関係業者36社でつくるウッドブロック普及協議会位(事務局・全国森林組合連合会)の研修会で報告したのである。10月に現地見学会を計画されている協議会の担当者は「もともと道路ののり面の土留の工法であり、水路は例外が少なく、貴重な情報である」と話す。