岩手県陸前高田市の国名勝「高田松原」の松に関しては、今月半ばに行われた京都の「五山の送り火」で使う計画が二転三転した後、薪から放射性物質が検出されたため使用が中止となった騒動が記憶に新しいが、この被災松の新たな利用法が挙げられている。学校法人二本松学院は伝統工芸職人を育成する学校として有名であるが、同学院は、被災松を使って清水寺が所蔵する大日如来坐像の複製品を制作する事を発表した。使用する松から放射性物質は検出されなかった。震災からちょうど1年、2012年3月11日の完成を目指す。同学院が運営する「京都伝統工芸大学校」の仏像彫刻コースの学生らが、組み合わせた複数の材を彫り込む「寄せ木造り」という技法を用いて制作するのである。今後は現地を巡回して、復興祈願を込めて被災者にノミを入れてもらうという計画もある。完成後は清水寺に安置される予定で、同学院の新谷秀一理事長は「多くの人に拝んでもらう事で震災犠牲者の供養になれば」と話している。