滋賀県高島市朽木の山林で、西日本最大級のトチノキが発見された。幹の周囲は7.2メートル、高さ22メートルもある。張り出した枝の範囲は約30メートルにもなり、樹齢は400年前後と推定されている。この周辺は未調査区域も多く、滋賀県では新たな巨木が存在する可能性があるとして調査することを決定した。トチノキは、近畿では滋賀県北部から京都府北部にかけて分布しており、主に建材として利用されるため、西日本に巨木はほとんど残っていないとされている。通常は高さ十数メートル、幹の周囲も3メートル程度であるが、今回は群を抜いたサイズである。発見したのは、環境省の希少野生植物保存推進員を務める青木繁氏である。昨秋の山林調査で、標高570メートルの地点で確認された。周辺では、踏破調査が行われていない区域も多く、青木氏によると「奥地では幹の周囲が8メートルを超すトチノキの目撃例もある。さらなる巨木が見つかる可能性があるのでは」と話す。 滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの金子有子専門研究員の話では「トチノキは非常時に食料にもなるため、この地域では地元の人が大昔からトチノキを残していたことが巨木の生育につながったのではないか」という。