中西遺跡(奈良県御所市)で約2400年前、弥生時代前期の大規模な埋没林と水田跡が見つかったと奈良県橿原考古学研究所が4日、発表した。この発見は当時の生活を生々しく伝える貴重なものである。火で焦がしながら石斧で伐採した痕跡が残る切り株も初めて確認された。見つかったのは森林域約3千平方メートル、水田域約1700平方メートルであり、洪水による砂により厚さ1~1.5メートルが「真空パック」され、埋没した時点の状況をそのまま残している。森林域では樹木約200本が見つかり、186本については樹種を確認できている。ヤマグワ44本、ツバキ39本、カエデ21本、イヌガヤ12本、コクサギ10本、オニグルミ、カシ、エノキ各7本など22種以上あり、食用の木の実がなる樹種が多い。また、人為的に割られたクルミの殻も見つかった。伐採痕のある切り株はエノキで直径約1メートル、高さ約80センチ。削りやすくするため幹の繊維を燃やしながら石斧で切り倒したとみられる。周辺では弥生土器片やサヌカイト片、人の足跡なども見つかり、木陰で活動していた様子がうかがえる。