大安寺は奈良時代、七重の東西塔を備えるなど、大伽藍を誇る寺院であった。また天平期の木造の仏9体(8世紀後半、重要文化財)が伝わり、中でも馬頭観音立像は傑作として知られ、緻密な表現でありながら、一喝するように口を開けた姿は迫力いっぱいである。馬頭観音の特徴は頭頂部に馬の頭を表現していることであるが、この仏像にないのは、早い時期に唐から伝来した様式だからだといわれている。材質はカヤである。中国では白檀などを使うが、香木のない日本では、カヤで代用したようである。