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新聞からの木の豆情報

木ぞりで運搬

・読売新聞 2010/7/29

奈良県薬師寺の聖観音菩薩立像(国宝)は美しいプロポーションで「古代ブロンズ像の傑作」とも称されている。その制作年代は定かではなく、奈良時代との説もあるが、それより前に造られ、薬師寺が元々あった藤原京(奈良県橿原市)から、平城遷都にあわせて運ばれてきたという説も有力である。それでは1300年前、トラックもクレーンもない時代に、1トン近い仏像を約20キロ運んだことになる。平城京跡からは木製の車輪が出土しているが、大八車のような運搬具では重い仏像を運ぶのは到底不可能である。多くの研究者らが指摘するのは、「修羅」と「人海戦術」で、修羅とは巨岩や巨木を引っ張って運ぶのに用いられたY字型の木製のそり。丸田を何本も敷き、その上を転がして運ぶ。近世の築城などでは石材などを運ぶのに使われたが、平城京跡などでは出土しておらず、奈良時代にあったという証拠はない。しかし、それ以前の5世紀には、巨大な修羅が使われていたことが判明している。1978年に大阪府藤井寺市の三ツ塚古墳から出土したものは、長さ9メートルもあり、復元実験では、300人がかりで14トンの巨石を動かすことに成功したのである。元興寺文化財研究所の研究員として修羅の保存と復元に携わった増澤氏は、「三ツ塚古墳ほどの大きさの修羅があれば、何トンの重さでも仏像を運ぶのは容易と話す。

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