木材からバイオエタノールを精製するプラントを新日鉄エンジニアリングと王子製紙は共同開発し、2011年度にも広島県呉市の王子製紙の工場内に試作用のプラントを建設して実証を進め、14年度の商品化を目指すという。バイオ燃料の主原料は国内では調達しにくいトウモロコシやサトウキビが中心であるが、廃材や古紙を原料に使える利点を、燃料製造事業者に売り込むのである。砕いた木材をプラントに投入し、「糖化」「発酵」といった工程を経てバイオエタノールを精製。研究レベルの結果では、ユーカリを使ったバイオエタノールの精製に成功、理論上は1トンのユーカリから、濃度99・5%超の無水バイオエタノールを約300リットル精製できるという。投資額は10億~15億円程度で、原料の木材換算で日量1~2トン程度の処理能力を持たせる。今後パームヤシの殻や古紙などを使ったバイオエタノール精製の技術開発も進め、プラントの商品化時点でのバイオエタノールの製造コストは、1リットルあたり40円程度の想定で、トウモロコシやサトウキビから製造するのと同程度の水準を目指すという。木材を使うプラントを実用化すれば、原料調達の多様化だけではなく、建設廃材などの有効活用にもなる。