江戸時代初期ごろに中国から日本に伝わったとされていたサルスベリの花粉が京都府宇治市の平等院で、国宝・鳳凰堂の前にある阿字池の平安中期の940年ごろの堆積物から見つかった。今回の調査で、渡来時期が600年以上早まる可能性が出てきた。調査した京都府立大大学院の高原光教授らの研究グループは昨年9月、塩化ビニル製のパイプ(長さ68センチ・直径8センチ)を池の底に打ち込んで堆積物を採取し、年代ごとに15の層に分け、各層に含まれていた樹木の花粉を調べた結果、サルスベリの花粉は940年ごろの層で見つかり、それ以後の時代の層にも含まれていたのである。境内には現在もサルスベリがあるが、より新しい時代のものと見られる。国内での記録ではこれまで、1604年の醍醐寺(京都市)のものが最も古かった。また、サルスベリの花粉の飛散距離は数百メートル以内であることなどから、阿字池の南側に植栽されているサルスベリが、最古の系統になる可能性もあるとしている。京都造形芸術大の仲隆裕教授(日本庭園史・遺跡整備)は「阿字池には平安時代以前からの堆積土が残されており、当時の環境をうかがい知る貴重な資料。特に、サルスベリが植栽されていたと推定されることは興味深い」と話している。