国際自然保護連合(IUCN)などがまとめた調査報告書で、「森の海」ともいわれるマングローブ林に群生する植物種の7分の1が絶滅の危機にあることが分かった。気候変動や伐採などが主な原因である。報告書は「ラムサール条約や生物多様性条約などがあるが、開発は止まらない」とし、国際条約や法律が十分に機能していないことを指摘している。この調査はIUCNと米環境保護団体コンサベーション・インターナショナル(CI)の初の包括的な合同調査によるもので、調査で判明した絶滅危惧種は6月にIUCNのレッドリストに掲載される。マングローブとは、熱帯地域などで、淡水と海水が混じり合った河口などに生息する植物の総称である。日本では沖縄県や鹿児島県などでみることができる。サンゴ、鳥、魚などの生息地となっているほか、津波の〝防波堤〟となるなどさまざまな役割もしている。調査報告書によると、調査対象物70種のうち11種が絶滅の恐れがあり、太平洋と大西洋岸への影響が大きく、約40%の植物種が危機にある。また、木材の輸出やエビ養殖池のための開発などで、マングローブ林の20-35%が1980年ごろから消失し、生息する生物の減少につながっている。