阪神大震災では、犠牲者の8割が木造住宅の倒壊による圧死であった。以来、住宅の耐震化については全国各地で啓発活動が行われ、必要性が再認識されている。政府の中央防災会議によると、大阪府内を南北に走る上町断層帯が引き起こす大地震が起きれば、最悪の場合府内を中心に木造を中心とした住宅の倒壊や火災などにより、約42000人の死者が出ると予測している。大阪府木材連合会では、間伐材を使った独自の耐震工法を考案した。その工法とは、9センチ四方、長さ2.7メートル前後の角材を9本使って行うものだ。角材それぞれをボルトでつなぎ合わせ、1面の耐震壁を造る。それを建物の柱と柱の間にはめ込み、構造を強くする。そうすることで、地震が起きても揺れに反応した間伐材がすり上がり、地震のエネルギーを吸収して逃がし、倒壊を防げる。耐震壁は1部屋あたり1か所入れるのが原則だが、間取りに応じて増減させる。これまで行われてきた一般的な住宅の耐震工事費用は約130万円であるが、この工法ならば4か所の補強で、半額程度の50~60万円ででき工期も1室で1日と短くなる。大阪府木材連合会では、大学教授らとこの工法の共同研究を行っており、2008年12月には阪神大震災クラスの揺れにも耐えることが実験で確認された。三宅専務理事は、「工期が短く、金銭的な負担も少ないこの工法を使い、命を守ってほしい」と呼びかけている。