奈良県の橿原市教育委員会は2月26日、橿原市と御所市にまたがる観音寺本馬遺跡で、約2800年前のクリの木の根の株25株がまとまって発見されたと発表した。縄文人は狩猟採集で生活していたとされるため、クリ林があることは、食糧確保のために植林していたことを示す重要な発見である。これまでにも、三内丸山遺跡の花粉のDNA分析などから縄文時代の人工林の存在は確認されているが、実物の根株の分布から明らかになるのは非常に珍しいことだ。この遺跡からクリを含め全部で根株68株が出土し、分析した結果20種の樹木が確認された。その約半数が食用可能な種であった。クリ林は集落の住居跡から近く約300メートルで、80メートル四方のエリアに集中していた。教育委員会は、クリだけの林が自然に存在するとは考えにくいことから、「クリを中心に利用価値の高い植物を局地的に栽培していたのではないか」としている。