農林水産省の森林・林業基本政策検討委員会の初会合で、梶山内閣審議官が「林業は成長戦略の柱だ。大変な政治的意志が働いている。やるやらないではなく、どう実現するかに尽きる」と発言し、林野庁や森林組合の幹部らに現状に満足しないように釘をさした。現在までの林政は森林の維持管理が中心で産業として重視されていなかったが、菅直人氏の旗振りで成長戦略の1つに位置づけられた。日本の林業生産はGDPの0.1パーセントにも満たない。ヨーロッパの林業先進地で学び、新たな産業を菅氏は思い描いている。2009年11月、林野技官のトップで林野庁長官の島田氏が菅氏を訪ね、国家戦略室が作った、木材自給率向上の数値目標を盛り込んだ林業再生プランの素案に対して「木材の需要がありません」と難色を示した。しかし、「需要の問題じゃない。木が太っても運び出せないことが問題だ」と菅氏は反論した。これは、眠っている森林資源を生かすために林政を変えれば、外材から需要を取り戻して新たな需要も生まれるという主張である。結果、再生プランはほぼ素案通りで、木材自給率の数値目標も2020年までに50パーセントとなったが、2008年の自給率は24パーセントだ。島田氏は「ものすごく高いハードルだが、政治から非常に強いメッセージをいただいている以上、やらなければいけない」と話している。