間伐材を利用してローコストの耐震工事や都市のヒートアイランド対策などにしようという研究が進んでいる。込み合った森林を間引くことは、良質な木を育てることでは欠かすことのできないプロセスである。しかし働き手の高齢化など森林の間伐が進まず、今大きな問題となっている。間伐材の有効な使い道があれば伐採も進むはずということから、大阪府木材連合会では、さまざまな間伐財の利用法の研究を進めているのである。大阪府内では5万ヘクタールある森林のうち、8割が間伐が必要な状態である。 まず、京大防災研究所などと共同開発したのが、ローコストの住宅耐震工事である。通常一軒あたり数百万円と高額になる場合も多いが、間伐材を使った耐震工事は一軒数十万円から導入が可能である。ふすまや窓として使っている部分に間伐材で作ったパネルをはめ込むことで耐震性をアップさせるという。ヒートアイランド対策に間伐材を活用する方法もあるという。2009年秋には、大阪市北区の中之島で、川の護岸壁に長さ約1・5メートルの間伐材を使い、約150メートルにわたってコンクリートを覆った実験を行った結果、周辺より約3度も温度が下がったという。 さらに、スギの空気浄化能力を利用した商品開発を目指して、府環境農林水産研究所などと共同研究も行っている。スリット加工したスギをついたてや壁面材などとして使うと、カビやダニ、ウイルス抑制などが期待できるという。