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新聞からの木の豆情報

国内のそろばん

・読売新聞 2010/12/20

江戸時代から庶民が学んだ「読み・書き・そろばん」。そろばんは電卓や表計算ソフトの普及で影が薄くなったが、近年「集中力を高める」などと教育現場で見直されているのである。島根県では、確かな技術でそろばんを作り続けている。国内のそろばんは、同県奥出雲町の「雲州」と、兵庫県小野市の「播州」が2大産地である。雲州は「珠の動きが滑らか」と商店主らに重宝され、珠算塾などでも高い支持を集めてきている。雲州算盤協同組合などによると、最盛期の1960~70年代は年間100万丁を製造していたが、現在は4,5万丁と激減している。販売額では全国7割のシェア(市場占有率)を保っているという。播州そろばんは、小野商工会議所によると、そろばん珠を使ったアクセサリーなどを含めて年間約15万丁分を生産、全国の7割を占めるとする。そろばんだけの生産量を示す全国統計がなく、「あちらが7割と言ってるから、こちらが3割と言うわけにはいかない」と、双方が7割の主張を続けて10年以上たっている。雲州産は、1830年頃に奥出雲町の大工が作ったのが始まりとされる。同町は日本古来の製鉄法「たたら製鉄」でも栄えた。材料の堅い木材を削るのに適した鋭い刃物を生産していたことが、主産地となった背景にあるという。珠の材料にはカバやツゲ、珠を通す軸には堅くて収縮の少ない煤竹を使い、製造工程は180以上にもなる。こうした技法が評価され、1985年に伝統工芸品に指定された。同組合の岩佐俊秀代表理事は「出雲人の生真面目さが、良い物を生む」と胸を張る。「集中力や忍耐力を養う」と、学校などがそろばんを積極的に取り入れ始めたことにより、生産量は約3年前から下げ止まり傾向にある。

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