東京都港区のタクシー大手の国際自動車は2009年11月、長野県北部の信濃町と「ふるさとづくり協定」を結んだ。これは信濃町にある森林などを活用して社員の健康増進を図る目的である。ストレス解消に効果があるとされる森林浴に社員が参加する試みが始まっている。タクシー運転手の勤務は、長時間で深夜に及び、安全運転と接客の両方に気を配らなくてはいけないうえ、1人での乗務が基本である。そんな中気分転換は大きな課題である。本社営業所の運転手、星雅英さんは今年8月、信濃町を訪れる会社主催のツアーに参加した。森を歩くと仕事を忘れた。時間がゆったりと流れる感覚を今も鮮明に覚えている。「自然の風に音やにおいがあることを思い出しました」と話す。参加者からは、「車外での深呼吸を心がけている」「近所の雑木林で散歩を始めた」といった声が届いている。森林浴を企画した取締役の下山慶太さんは「社員が自分の健康に関心を持つようになり、日常生活にも変化が出てきた」と手応えを感じていると話す。