スリランカのコロンボ郊外では、ヤシの木に登ることを仕事にしている人がいる。両足にひもをかけて滑り止めにし、両手両足で抱きかかえるように木にしがみつく。そして、まるで尺取り虫のように木のてっぺんまで登っていく。ヤシの実はジュースや調味料、食用油にもなり、それを切って落とすのは大切な仕事だ。スリランカではたいていの家の庭にヤシの木を植えているため、実を取ってほしいという依頼が寄せられる。一本の木につき、日本円で約39円で請け負っている。現在は人手不足のせいで毎日仕事が入り、1日40~50本は登っているそうだ。スリランカでは、毎年4月に木登りの速さを競う全国大会が開かれる。そこでは3~4秒で3メートルの高さを登るプロもいる。2004年の大津波の時には、浜辺のヤシの木にとっさにしがみついたことで、九死に一生を得た住民が少なくなかったそうだ。