今、盆栽や植木の輸出が大幅に伸びている。2010年1~10月の輸出額は前年同期の2倍近くにもなり、通年で過去最高を更新する勢いである。中国では都市開発関連の需要が好調で富裕層による高額品の購入も多いのである。また、日本文化への関心が高い欧州を含め「ボンサイ」愛好家が世界に広がっている。1~10月の輸出額は52億円。2009年通年の45億円を超え、過去最高だった2008年の通年実績にほぼ肩を並べたのである。輸出本数は前年同期比11%増の10万本であるが、単価が大きく上昇し、金額を押し上げたのである。国別では中国向けが前年と同水準の5億円であったが、ベトナム向けが20倍の32億円と急増している。中国は土のついた植物の輸入を原則禁止しているが、一部の業者に許可している。「中国の業者が日本の盆栽などをベトナム経由で輸入している」という。中国では都市開発に伴い、幹線道路や公園を飾る植木の需要が伸びている。欧州向けはマツやモミジの盆栽が中心であり、浮世絵のような美術品としてドイツやスイスで注目されているようである。イタリアには200近い盆栽愛好家サークルがあるとされ、同国向けの1~10月の輸出は4%増えた。国内の盆栽や植木市場は家屋の洋風化を受け縮小傾向。産地の生産者や販売業者は輸出に活路を求めており、埼玉県は欧州などに年間2万本を販売している。香川県はマツの盆栽の輸出促進に取り組んでいる。日本の「ボンサイ」は外国人に人気が高く、東京・江戸川にある「春花園BONSAI美術館」の来園客の7割が外国人であり、小林国雄館長は「海外から講演依頼が多く普及余地は大きい」と話している。