蔵王連峰の「樹氷」は山形・宮城両県にまたがるの冬の風物詩であるが、地球温暖化の影響で40年以内に姿を消す可能性があるとの研究結果を山形大の柳沢文孝教授(地球化学)らがまとめ10日、山形市で開かれた講演会で発表した。「アイスモンスター」とも呼ばれる樹氷は、針葉樹のアオモリトドマツに強風で吹き付けられた空気中の水分が凍り付き、その上に雪が付着してできるのである。柳沢教授らが大正~昭和初期の文献や写真を基に調査したところ、樹氷は1965年まで標高1400メートル以上で観測されていた。その後観測できる地点の標高が上がり、現在は山頂に近い1600メートル付近にまで達しているという。観測できる時期も1950年代までは12月であったが、現在は2月となっている。柳沢教授は、山頂付近の気温が約80年間で2度以上上昇したと推定している。「このままのペースで温暖化が進めば40年以内に山頂の気温がさらに1度上がり、樹氷はなくなってしまう」と警鐘を鳴らしている。