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新聞からの木の豆情報

巨大建造物と木材

・朝日新聞 2010/11/11

東西44メートル、南北20メートル、高さは6階建てビルに相当する27メートルある大極殿が奈良市の平城宮跡に今年4月、千二百数十年ぶりに姿を現した。2001年に着工、宮大工が技を駆逐している。直径70センチ、長さ5メートルのヒノキ柱が立ち並ぶ姿は迫力がある。「国会議事堂の役割をした建物の復元。国内産で造らせて欲しい」宮大工棟梁の瀧川昭雄瀧川寺社建築会長は、山主をこう説得して木材を集めた。木造住宅なら100棟分、計約2500立方メートルの国産材を使った。木材集めに8年の歳月と100億円が費やされたのである。奈良・吉野や琵琶湖周辺などで古い木が残る植林地を探し、山主に伐採の許可をもらった。ただ木を切っても芯まで詰まっていないことが多い。100本切り倒しても、柱にできるのは5本程度という。柱のために探していたのは樹齢350~400年程度のヒノキであるが、実際に入手できたのは230~300年の木である。年輪が詰まっていない分、強度が落ちる。瀧川さんは「法隆寺のように千年もつかどうか分からない」と心配する。樹齢が若いのは、天然木が見つからず、ほとんど植林ヒノキを用いたからだ。大極殿に先だち、1998年に復元された平城宮の朱雀門の再建時は、材木の半分以上が国産天然ヒノキ。柱はすべて樹齢400年前後の天然ものを使えた。この時、子孫を残すために、森に最後まで切らずにあった「種木」と呼ばれる天然木を取り尽くしてしまったという。大木が無いのは全国的な問題である。文化財建造物保存技術協会が2005年までに、全国の植林地や木材市場など約30カ所を調査した結果、ヒノキやケヤキなどでは30センチ角より大きい木材が入手困難になっていた。国産材が不足する中、外国産を使う動きもある。2018年完成予定の興福寺中金堂。高さ約10メートル、直径80センチの柱は、樹齢300~500年のアフリカ・カメルーン産のアフリカケヤキである。

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