東京大学などの研究から地球に降り注ぐ宇宙線を遮る太陽の磁場活動が弱まるため、太陽活動が停滞すると、北半球の平均気温が0.7度ほど下がることがわかったという。日本では梅雨の湿度が1~2割高まり、降水量が増えることもわかった。宇宙線の変化による地球の気候への影響が初めて確かめられたのである。太陽活動は2013年をピークに数十年の停滞期を迎えることが予想されており、地球がミニ氷河期に入る可能性もあるという。東京大大気海洋研究所と同大宇宙線研究所などが、奈良県の室生寺にあり、台風で倒れた樹齢392年の杉の年輪を解析すると、17~18世紀に太陽の活動が極めて弱まった時期の炭素の量などから、当時の宇宙線の量を調べた。この時期は平均して宇宙線の量が1~2割増え、北半球の気温は0.5度下がっていた。太陽活動が特に弱かった年は宇宙線が3~5割増え気温は0.7度下がっていた。宇宙線が地球の大気と反応して雲が生じやすくなったり、オゾンができたりするためと考えられるという。