カキは「桃栗三年柿八年」といわれるように、長い育成年数が「世代交代」が問題であったが、通常より大きく育てた大苗を植え付けることで「カキも3年」が実現可能であるという。奈良県果樹振興センターは「今の畑は大量退職を迎えた団塊の世代そのもの。将来に備え若手を入れたい」としている。五條市の傾斜地には一面にカキ畑が広がり、間もなく収穫の最盛期を迎える。主力品種の「富有」は同市と下市町の約800ヘクタールで栽培しているが、半分以上が50年以上の老木で、枯れつつある木も多い。木が老いると、収量が落ち込むうえ病害虫被害を受けやすいという。このため、畑を若返らせる必要があるが、通常の苗からだと本格的な収穫ができるまで8年以上かかる。そこで同センターや生産者からは5年ほど前から大型ポットで大きな苗を育て、育成期間を数年短縮する取り組みを始めた。大苗を植えた畑は翌年から順調に収量が増加し、現在では収量確保のめどもついてきている。若手生産者らが共同で取り組む畑もあり、老木の間に若い木が育ちつつある。しかし、長年守ってきた木の植え替えには抵抗感を持つ農家も多く、意識改革も課題である。同センターは「大苗だと、未収益の期間も短縮可能。将来に危機感を持ち、奈良のカキ畑を若返らせる必要がある」と話している。