オオワシやシマフクロウなど豊かな生態系がはぐくまれてきた極東ロシアの生態系の頂点に位置するアムールヒョウが危険な状態にある。現在、わずか30~45頭が残るのみである。アムールヒョウが減少したのは森林の減少が進行したからであり、森林伐採で草食動物が減り、それによって肉食動物も減少したのである。森林火災も影響しているが、火災の原因は失業者などが山菜や鉄くずを集めるため林床を焼き払うことなどである。こうした状況を受け、世界自然保護基金が保護活動を進め、植林を進め森の再生を計画している。木材の輸入国である日本に対し、違法伐採された木材を輸入しないよう責任ある調達を呼びかけている。森林火災への対策として、日本で成功例を持つカラマツを植え、防火林の導入を図る。既に植えられた防火林は15キロメートルであり、最終的には300キロメートルにも達する防火林を整備する予定である。相次ぐ森林火災で火に強いモンゴリナラばかりの森となり、多様性が損なわれてしまっているため、モンゴリナラを間伐し、草食動物、肉食動物が互いに関係しあう本来の生態系を取り戻そうとしている。