焼き畑や違法伐採で急減している熱帯雨林を保全するために政府は、森林保有国との2国間協力事業に乗り出すと26日に名古屋市で開く「森林保全と気候変動に関する閣僚級会合」で前原誠司外相が表明する。日本が相手国に対し植林や焼き畑停止による失業農家への補償などで支援するものであり、最初の相手国はインドネシアで事務レベルで協議し、11月のアジア太平洋経済協力会議首脳会議までに詳細を固める方針である。森林は二酸化炭素の吸収効果が高く、日本は森林拡大に協力する見返りに温暖化ガスの排出枠を獲得する構えである。今後、ブラジルやミャンマー、スーダンなどとも交渉に入る計画である。まず相手国と協力協定を結び、現地での森林減少見通しを試算し、結果をもとに植林や森林の監視、環境効果の測定、現地農家の生活支援などを盛った行動計画を作り、計画の実行にあたっては政府開発援助(ODA)や国際協力銀行(JBIC)の融資などを活用し、日本の商社や非政府組織の進出も後押しするという。2国間協力は、相手国への支援で生じた排出枠を獲得できるとする国際合意に基づくもので、京都議定書の期限 が切れる2013年以降の政府の排出削減目標の達成に活用する。ただ事業計画が軌道に乗るまで2~3年はかかり、日本の成果につながるのは数年先になる見通しである。イギリスやノルウェーなど欧州先進国は森林保有国との協力を強化し始めている。インドネシアで森林保全を強化すると、年間10億トン規模の排出削減効果があるとの試算もあり、年に約13億トンを排出する日本がこの一部を排出枠として獲得できれば、日本の対策を進めるうえでも影響が大きい。アフリカなどの熱帯地域では、日本の森林面積の半分弱にあたる1000万ヘクタールの熱帯雨林が毎年消失している。