北山を京都市街からながめていたら、一部が赤くなっている。原因は「ナラ枯れ」である。少し前、奈良・若草山のナラ枯れが記事となったが、北山でも被害が出ているらしい。ナラ枯れとは、ナラやカシ、シイなどの広葉樹が病原菌で枯死する現象で、「カシナガ」という昆虫が病原菌を媒介する。やっかいなことにカシナガがいったん幹の中に入って定着すると、爆発的に増える。森林の専門家によると、今年は異常なほどの猛暑で樹木が弱り、病原菌に感染しやすくなっているため、被害は全国に広がっている。 また、今年はクマの出没や目撃も目立っている。クマの大好物で、ナラやクヌギなどの樹木に実るドングリが凶作となっていることが直接の原因のようである。背景には温暖化や酸性雨と並んでナラ枯れの影響がちらついてる。名古屋では「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」が開かれている。地球規模の温暖化が進む中で、人間が自然の恵みを今後も享受していくために、種や生態系を守る国際的なルールを決める。11月に16回目を迎える「気候変動枠組み条約会議」と両輪の重要な会議といえる。ただ条約には具体的な数値目標がない。北山だけをみても生態系は乱れ始めているといえる。