鳥取市の「ジャパン緑化」がスギやヒノキを製材した際、使えない樹皮部分を有効活用した植物栽培用の人工土壌ボードを開発した。樹皮には殺菌力があるため農薬は不要である。軽くて強く、ビル壁面など様々な場所で活用できるという。スギやヒノキの樹皮には植物の生育を阻害する成分が含まれているため、かつて「植物の生育に有害」との説に基づき、焼却処分されることが多かった。また、樹皮は、繊維が強い上、殺菌作用のあるチモキノンなどを含むため、そのままでは腐敗しにくく、堆肥になりにくいのである。しかし、この殺菌作用に注目したのが、ジャパン緑化の大林久会長である。大手製薬会社に勤め、農薬を研究していた1970年代後半、「腐らない殺菌力を生かすことで、農薬不要の土壌材が作れるのでは」と考え、10年以上も改良を重ね、表面にミネラル分や養分を補う特殊加工を施し、植物栽培に適した人工土壌の開発に成功した。現在、高い殺菌力が根腐れなどの繁殖を防ぎ、農薬をほとんど使わずに済むため、校庭の芝生化などに活用されている。大林会長とともに2000年にジャパン緑化を設立した小林清社長は約5年前、この人工土壌を扱いやすくしようと「ボード化」を提案した。岡山県の木材加工技術センターの協力を得て2008年、45センチ四方で、厚さ4.5センチの商品を作った。約4キロの重さは同じ体積の土に比べ約8分の1で、屋上に敷き詰めしたり、垂直の壁に固定したりできる。圧縮成型したため、植物の根が張っても強度は失われない。様々な形に裁断できるようにし、用途は広げた。