国内最大の森林保護区として、北海道の大雪山から日高山脈にかけての国有林帯に総面積24万ヘクタールが設けられることになった。これぱ生物多様性に富む原生林を守るためである。「大雪山」では約8万ヘクタールを、「日高山脈」では約14万ヘクタールを、産業目的の伐採ができない森林生態系保護地域とし、その間をつなぐ1.7万ヘクタールを保護地域に準ずる「緑の回廊」に指定する。保護区の面積は従来の2.5倍となり、南北の距離が約250km、総面積が東京都の面積の約22万ヘクタールを超えるものである。従来の森林生態系保護地域は、林業の対象とならない標高の高い高山帯に限られていたが、林野庁は、生態系保護を求める運動の高まりを受け、2007年に野生生物の専門家らによる「生物多様性検討委員会」を設置し、保護地域の見直しを検討。北海道で、シマフクロウやクマゲラなどの希少種が生息できる地域を選び、新たな保護区を決めた。この地域は、エゾマツ、トドマツの針葉樹林やミズナラといった多数の樹種が交じる多様な原生林が残り、十勝川などの多くの川の水源になっている。国有林は北海道の森林面積の約6割を占めるが、明治以降、木材として利用するため伐採され、もとあった森林が回復できない状態の場所も多いという。