奈良市の若草山周辺で、ナラやカシなどの木々が集団枯死する「ナラ枯れ」被害が拡大していることが奈良県の調査で分かり、被害が、奈良市内で確認されたのは今回が初めてである。ナラ枯れの原因は、体長約5ミリの昆虫カシノナガキクイムシが幹に穴を開け、病原性のカビを持ち込むことで、樹木に水分が行き渡らなくなり、枯死するのである。ナラ枯れ被害は全国に急拡大しており、林野庁によると、平成10年度の被害は8府県で278ヘクタールであったが、21年度には23府県で2511ヘクタールに拡大している。被害エリアも、従来多かった日本海側だけでなく、愛知県や三重県など太平洋側にも広がっている。夏場は青々とした木々が赤茶色に変色し、遠目には季節はずれの紅葉にも見えるが、景観を損ねるため、各地の観光スポットでは警戒を強めている。若草山周辺のナラ枯れは8月の県の調査で判明し、50~60本の被害を確認されている。奈良県では被害樹木を伐採し、倒木や切り株をシートで覆って駆除剤での殺虫を検討しているが、「漏れた木々から再び被害が拡大する可能性もあり、100%駆除できるとは言い難い」と奈良県森林整備課は話す。