四万十式作業道は、高知県四万十町の林業担当職員だった田辺由喜男さんらが1996年ごろに考案した。林業の衰退で手入れされない人工林が増える中で、低コストの作業 道が必要だった。従来の作業道はコンクリートで固めたり砂利を敷いたりすることが多かった。四万十式は、設置現場に生える植物の根や葉を含む表土と下にある土とを交互に積み重ねて強度を保つのが特徴だ。重機で踏み固めれば、植物と土が絡み合って崩れにくくなる。路肩は木の根株も埋め込み強化する。道幅は2~3メートル程度が一般的だ。削った土を山の外に捨てないため、設置コストは1㍍あたり2千円程度で、従来の作業道の5分の1、コンクリート舗装した林道と比べれば、50分の1程度ですむという。外部から材料を持ち込まないため、生態系への影響も少なくできる。滋賀県は08年度に取り入れ、県北東部の17ヵ所で四万十式など低コストの作業道を造った。このほか、福島、長野、奈良、熊本などの森林組合も09年度に設置した。水源の保全のため、サントリーは09年10月から群馬県の4キロ区間で設置した。今後、こうしたエコ作業道を9府県10ヵ所、3393ヘクタールの森林に広げていく。林野庁は07年度からは四万十式作業道技術者育成の研修や現地実習を開いている。新年度からは、森林整備予算を舗装された林道より、四万十式などの作業道に重点的に振り向けていく。