ブナ林の北限とされる北海道黒松内町には国の天然記念物「歌才ブナ林」があり、1988年、「ブナ北限の里づくり」宣言以降、ブナ林散策などを目的に年間15万人近くが訪れている。そんな中、黒松内岳のやぶや荒地の多さに心を痛めた新川幸夫さん(71)は06年12月、「黒松内岳ブナ林再生プロジェクト実行委員会」を発足させた。町内の小中学校、商工会、観光協会、黒松内岳愛好会など20以上の団体からなる実行委は、同岳中腹の3箇所計4ヘクタールに、①種子のじかまき②苗を育てる畑作りと苗の移植③山に自然育成している苗の移植の3方法でブナ林再生を試みている。霜やカラスの食害を経て、昨秋まいた種は今春新芽を出した。来年まで苗の育成ゃ山取り苗の移植を行い、11年に育成した苗を山に移植する予定だ。ブナ林再生の成果が見えるのは50年後、100年後となるが、「1度伐採すると、再生に長い歳月がかかることを、みんなが知るだけでも意義がある」と、新川さんは関心の高まりに期待している。