途上国の荒地に植林し、温暖化対策と住民の生活向上の両立を目指す温室効果ガス削減事業が、近く国連の機構変動枠組み条約事務局に認められる見通しになった。京都議定書では、先進国の削減手法として「クリーン開発メカニズム(CDM)」が認められている。CDMとは途上国で削減事業を実施した場合、削減分を先進国の排出削減分とみなす仕組みで植林や工場の省エネ、再生可能エネルギーの導入などがある。日本の国際協力機構(JICA)は、貧困地域のベトナム北西部カオフォン県での植林事業を支援。植林や林の手入れで働く場をつくり周辺に住む住民の現金収入を増やし、樹木が吸収した分の排出枠や木材の売上げを住民に分配する。計画では320世帯の農家が参加し、荒地約310ヘクタールに約50万本のアカシアを植えて、16年間で、4万3千トンの二酸化炭素の排出削減を図る。排出枠の売却益は最低でも約1800万円が見込まれる。植林は技術的に難しく資金も集まりにくいとされているが、JICAは CDMに精通する人材を現地で育成するほか、国連の審査手続きを支援。さらにホンダベトナムが技術支援にかかる初期費用の2500万円を拠出することで問題 を解決した。植林の国連承認はインドが同国北部で計画した事業に続く2例目になる。同様の計画は、日本の国際農林センターやリコーも進めている。