スギの花粉量が年々増えつつある。日本固有の針葉樹であるスギ(英名:ジャパニーズシダー)は2月上旬から4月下旬にかけて花粉を飛ばす。樹齢25~30年に達したあたりで、スギは花粉を付け始める。スギは戦後の山林整備や林業振興を目的として全国に植樹され、全国に人工林が広がる。その人工林は熟年期を迎え始めている。本来であればスギは建材などとして消費されるはずであったが、価格の安い輸入材に押されてしまっている。その為、林業の低迷が続き、国産のスギは消費されないままとなっている。また、近年は温暖化による平均気温の上昇や日照時間の変化などの気象の変化によって、よりスギが花粉を飛散させやすい環境になりつつあるという。近年の6~7月にかけての梅雨はスコールのような集中豪雨と晴天を繰り返す気候に変化した。「雨量は依然と変わらないけど日照時間が増え、スギの花がたくさんできるようになっています。」と財団法人「気象業務支援センター」の村上貢司さんはスギと日照時間の変化に関係があるとみている。スギ花粉の不山稜は、前年度の7月から8月中旬の花をつける時期の日照時間によって決まる。また、年平均15度がスギにとって最適な気温といわれている。「国内の平均気温があと1~2度上昇すれば最適となり、より花粉を増やす可能性がある」という。花粉症の原因であるスギだが二酸化炭素排出量削減という面では優れた特性がある。「二酸化炭素は主要な温室効果ガス。スギは成長が速い植物なので、二酸化炭素の吸収率が高く、温暖化対策にはもっていの樹木なのです」(村山さん)国も動き始めている。温暖化と花粉症防止の両立を図るため、スギの品種から花粉が少ないタイプを選抜。主に大都市圏に影響を与えているスギ林を小花粉品種への植え替えを進めている。